23 November

<源荘の面々>・・・鬼の姫がいる風景

捏造設定。

もしも東京編の「源荘」が平安時代だったら・・。
でも時代考証むちゃくちゃ。
(ここ重要)


光=頼光と正体は全員にバレ済み。

パラレル。


今回も「怪童丸」とクロスオーバー。





荊木は川面をみつめながら、ため息をついた。

ーーー荊木といっても、怪童丸の荊木である。

いつも潜ってくる時空の歪みの隙間から、コッチの京へ
やって来た。たまに女主である桜丹姫のお供できている
(殆ど源家に夕飯上がり込みのため)が、一人できたのは
初めてである。


チーム平安京破壊計画(呪顛(しゅてん)様と愉快な仲間たち)
最近は藤と山吹の姉妹姫もメンバーに増えて、荊木はなにか
と使われていた。
しかも、ウッカリ藤や山吹の部屋に所用で入ろうものなら、
やれセクハラだとか変態ガキとかさんざ言われる。
時々姉妹の中身が菅原道真公になったりするから、余計面倒
くさい。特に受験期には山積みの絵馬の中で多忙のせいか
イライラして荊木にあたる。

「俺だって、平将門なんだけどなあ。」
(将門は荊木の中で只今グッスリ長期お休み中である。
(-.-)Zzz・・・・)

主の呪顛様こと、桜丹姫は公時のストーカーばかりしていて、
最近は志にしていた都破壊計画も疎かにしている。


----------なんかもう、そのグダグダ感に嫌気さしてふぃっと
出てきてしまった。





ーーーーーみると、川縁に猫が一匹いた。
飼い猫なのか綺麗な毛並みをしているが、顔立ちがおっさん
くさくてふてぶてしい。その可愛くない顔立ちをみていたら
妙に腹がたって蹴りおとしてやろうと
足をあげた途端、草に足をとられ荊木はバランスをくずした。

ウワァ!

・・・・・・・荊木は川に落ちた。
「ニャアン!」

そして、ふてぶてしいオヤヂ顔の猫がポンッと荊木の頭に
のっかった。

「トラクマ~~~~~~」

向こうからよく見る男がやって来た。
「やっ、かたじけない。主の猫を貴殿が身をていして助けて
くださったのか!猫は水が苦手なゆえ、川に落ちたら一大事。
誠にかたじけない。」
隻眼の大きな体格の男が深々と頭を下げた。
「ん?なんだ、いつもくるボウズじゃないか!」

隻眼の男・・・お伽の渡辺綱だった。
荊木は頭にトラクマをのっけたまま、川にはまった状態で
綱を見上げた。
「なんと、ずぶ濡れではないか。!」
綱はトラクマと荊木を抱えあげるとダッシュで源家へ
走っていった。

「あら?綱殿、どうされました?」卜部が縁側に立っていた。
「卜部殿!至急火をおこしてくださらぬか。」ずぶ濡れの
荊木をおろした。
「しまったなぁ、天気がいいもんで衣替えのためを全部洗濯
してしまった。」綱は頭を抱えた。
「私の衣ならございますわ。」
「子供だし女人の丈でも大丈夫だろう。」
勝手に決められて荊木は意見しようとすると、
「ボウズ、風邪をひくよりマシだ、我慢しろ。」
さっさと衝立の裏につれていくと、あれよあれよと濡れた衣を
剥ぎ取り、卜部が用意した衣を着せた。

「な、なにをしやがる!」真っ赤になって荊木は怒った。
「まあ、可愛らしいこと。宮中の女童(めのわらわ)にもおとり
ませぬこと。私の髪上げ前の汗衫(かざみ※平安童女の衣装)を
とっておいてよかったわ。」
卜部は袖を口元にあてて柔和に微笑んだ。
「トラクマを助けてくださった恩人だ。ごゆるりとしていくが
よい。」

卜部の濃色の切袴に萌葱の小袖、うすい茜色の汗衫を着せられた
荊木は可憐な乙女に見えた。
「おお!よくにあう。」綱は目を細めた。
「ば、ばかやろう!」荊木は赤くなって怒ったが、こんな格好では
当分外へ出られない。

⌈ニャァァン⌋
卜部にすりよってくるトラクマ。
⌈まったく、この猫は光様や卜部殿にはとても愛想がいいのに、
俺や貞光をバカにしている風体だよな。⌋
(ちなみに金太郎には、女性陣ほどではないがそこそこに
なついてはいる。)
綱が手をだそうとすると、パッと逃げた。
「あっ!こら。卜部殿すまん、今日は主にトラクマの番を申し
使っているのだ。」

光はなかなか休暇をとってくれない綱のため、
今日は家でトラクマの番をしてくれないかと頼んだのだ。
光と父はともに宮へ出かけた。
お供には今日は貞光が行ってくれている。

本日は卜部は陰陽寮での代休である。

というわけで、本日は綱と卜部が残っていた。
金太郎はいつもの如く、どこへやら自分用の食物採取に
出かけている。

トラクマの番といわれても、縁側で日がな一日ぼーっとして
いるのも性にあわない。
第一この猫は綱を見下し、勝手に出掛けてしまう。
主の猫に一大事があったら大変と追っかけるため、光が気を
きかせて休みにしてもかえって大変なのである。

というわけで、再び綱はトラクマを追いかけ出ていってしまった。

「あらあら」
・・・・・・・・・卜部と女装の荊木だけが残された。


「もうし、もうし。」表門から声がきこえた。
「あら、客人だわ。」
卜部は迎えにでると、黒色の小袖を粋に着こなした美女が
立っていた。
「まあ、荊木さんじゃなくて?お久し振り。」
「卜部殿!久々に京へやって来たからよってみたんだよ。」
「誰もいないけど、おあがりなさいな。」
「じゃ、お言葉に甘えて失礼するよ。」

女の荊木の方が座敷にあがると、円座の上に見慣れない童女が
いた。
茜色の汗衫を纏い、銀髪に金色の瞳の娘・・・。
(なんとベタなくらい鬼の風体。でもきっと何か事情があるのね。
この子。)
大人な荊木はそんな疑問も顔に出さずにっこりと笑って声をかけた。
「こんにちは。どちらの姫君ですか?」
「姫じゃねえ!」少年の荊木は怒ってぷいっとふてくされて、
後ろをむいた。

「どこの子だい、あの子は?」美女のほうの荊木が卜部に尋ねた。
「なんでも、別の世からやって来た荊木くんという男の子ですわ。
綱殿がいたく気にいって。たまに御飯をご一緒にいただくのよ。」
「イバラギ・・・アタシと同じ名前かえ。」美女のほうの荊木は驚いた。
「これも何かの縁。これ荊木と申す童、仲良くしようじゃないか。」

−−−また、ここも女だらけか。俺は女難の相でもあるんじゃないか?−−−
荊木少年はため息をついた。

あっちの世界とこっちの世界の「ダブル貞光」ならこういう状況は
大喜びなんだろうが。
俺は孤独が大好きなんだ、構わないでくれ!荊木少年は心で叫んだ。
「何故、女子の恰好をしておる?そういう趣味なのか?まあ人は多
様性があって然り。」
「・・まあ・・ちょっと、事情がございまして。」と卜部。

「ふうん。」
美女の荊木はしみじみと彼の長い銀髪を眺めていた。
「どれ、折角ならばもっと美しく装わせてみようではないか。
素地はよき童ではないか。荊木、こんな機会は滅多にないぞ。」
「うっせえ、大きなお世話だ!ばばぁ。」
と、いかにも思春期前的な男子の返答。

最後の一言が美女荊木の脳天にきたのか、
帯の間から必殺技の鎖鎌をとりだすと、荊木少年をとらえた。

「なにをしやがる。」
着なれない女装のため、逃れることが出来ず
鎖に巻き取られ、やすやすと美女荊木のもとに引っ張られた。
「よしよし、ボウヤ。」
懐から今度は螺鈿細工が施された櫛を取り出すと、荊木の長い銀髪を
すいた。

「ほんに綺麗な髪じゃの。まるで清い滝の流れのよう。」
女荊木はため息をつくほど見とれていた。

え?と少年荊木は思った。

----------------------ヒトであったのはいつだったろう?
        はるか昔、銀髪に金の瞳の容貌に誰もが恐れた。
        記憶のおぼろげな中、両親でさえ疎み、自分を棄てた。
        ひろわれた人々の里であざけられ、飢饉だ疫病だ賊だと
        里に災いがあると、みな荊木のせいにされた。
         荊木という名も後に自らが名乗った名だ。
        触れれば傷をつける「山荊⌋の木。

        哀しみの中で荊木は悪鬼の依体となった・・・
        その頃からずっと年をとらない。
        
        もうヒトではなくなった・・。

         

女荊木のふっくらした優しい白い手が彼の気持ちを”過去から今へ
”引き戻した。
荊木の髪を新しい元結いで結いあげて、高価な玉虫色の紅を
ほんのり唇に。銅鏡を取り出し荊木に見せる。
赤銅のぼんやりした輝きの向こうに「鬼の姫」である自分がいた!

「・・・・・・羨ましいわあ、肌が若いから白粉しなくても綺麗だし。」
女荊木はため息をついた。
「あら、荊木どのもお綺麗ですわ。」
もうどっちの荊木かわからないが、卜部から多分女荊木への言葉だろう。

(これが・・俺なのか!?)
荊木はびっくりして見ていたが・・やがて、「鬼」らしい気持ちが
むくむく湧いてきた。

「卜部のお姉さんよ、この着物、しばらく借りていていいかな。」
「あら、かまわないわ。だってまだあなたの着物は乾かないもの。」
そういわれたので少年荊木は干していた自分の着物をくるくるまとめて
「じゃ、俺かえるわ。」と言った。

途端にきゅっと後ろから抱きしめられた。
柔らかい胸が肩に感じる。柔らかい白い手が自分を包む。
「また・・こっちへおいでよ。初めて会ったのに、なぜかあんたとは
他人の気がしないんだよ。アタシは気に入ったよボウヤ。」
ふわっと良い香りがかすめる・・。女荊木が優しくそう言った。

少年荊木は一瞬ドキリとした。
・・向こうの世界の女ども(桜丹・藤・山吹・公時)にはなんの
気持ちも芽生えない・・こっちだって光や卜部にも時々会うけど
べつにどうとも思わない・・・・・・・・・なのに・・・この女。
「は、離せよ!ババァ!」荊木は振りほどいた。
女荊木はコツンと軽く拳骨。
その拳骨は細い中指関節が直に頭にあたったので意外と強烈だった。
「あ!痛てっ。」
「次に会うときがあったら、もう少し大人な口がきけるようにね。」
「うっせえ!」
うっすら頬を紅に染めて荊木は「じゃあな!」という手を振っただけで
振り返りもせず出ていった。

「またいらしてねv着物はいつでもいいわよ。」卜部はにこやかに
手を振っていた。



--------フフフフフ向こうの世界でおれのこの美貌を利用して
   馬鹿な武士の連中を惑わして全て倒してやるわ!!-------
荊木は振り向きもせずまっすぐに<自分の世界>へ帰って行った。




------------------------「荊木!これはなんなのじゃ!」
桜丹姫が街の中に貼られていたものを持ってきた。

「京(みやこ)の鬼・総選挙・・・No1荊木童子ちゃん!」

・・・・・・荊木童子は頭を抱えていた。羅城門や一条戻り橋あたり
で武士の男を女装でたぶらかし、倒そうと思っていたのに、
「可愛い!」
「萌える!」
と・・何故かへんな方向に人気になり、今ではむしろ出没してくれない
だろうか?
と武士どもの中で人気が急上昇していた。

「わらわのほうが可愛いというのに!都の男は見る目が無い!!」
藤と山吹からわけのわからぬ嫉妬をされた。


そして・・・・その噂をききつけて・・・
京の外れ山崎大枝山山中の「都を破滅する会・代表呪顛(しゅてん)宅」
まであの隻眼の男もやってきた。
怪童丸世界の渡辺綱である。

「ごめん、荊木はおるか?」
おのれ、宿敵め、ついに吾を倒しにきたのか!と、荊木は構えた。
「ふん、良い機会だ、返り討ちにしてくれよう。」刀を忍ばせ彼は
応対に出た。
「フン!わざわざ倒されにきたか、綱。」

「おお、荊木、右腕を借りるぞ。」と、彼の手をいきなり掴む!
荊木が刃を抜く暇もなく、綱は荊木の腕をつかんだ!

「うぎゃァァァ」
荊木は悲鳴を上げた!

ぶしゅううっと飛沫がとぶ!・・・・・・・・黒い。


・・・・・・・綱は持参した墨汁に荊木の右手をつけると色紙に
数枚スタンプしていった。
「なにをしやがる!」真っ黒になった手を抱えて荊木は怒った。


「すまんすまん、世話になった知り合いの武士が御前のファンでな、
手形が欲しいと頼まれて。これで面目がたもてたわ。ありがとうよ。」
綱は色紙をもって飛ぶように都方面へ帰って行った。


だいたいなんだよ手形って!
赤ん坊か相撲取りじゃねーぞ俺はemoji

emojiあーもうっ!やめた!!

荊木は女装で武士を倒す計画はやめた。
ならばこの衣装は必要ないだろう。
卜部に返すために、また向こうの世界に行こうと思った。

ただし、桜丹姫や藤や山吹に見つかるとうるさいのでこっそり・・。

彼の脳裏に・・・・・ふっとよぎった女人・・・。
ふっくらとした優しい白い手、艶やかな口元・・・。
「あのババア・・じゃない・・俺とおんなじ名前の女・・荊木。」

       もう一度・・会えるだろうか?

荊木は「お伽草子」世界へ続く不思議な道を潜ったのであった。

たぶん卜部に着物を返すのは第二の理由だろう。
・・・・そんなことは荊木自身がよっく分かっていた。
ほんのすこしの希望をもって再会を願いながら歩むこうの都への道は
優しい木漏れ陽の鶸色に揺らいでいたのだった。






<おわり>






<あとがき>

書き始めた日付を見たら6月11日だった。

半年放置されていたパラレル駄文をぽつぽつ拾って
あんまりうまくなくとりとめなくとりまとめてみました。
(意味不明。)
怪童丸コミックス読む前だったんで、悪役ズはアニメのほうの
イメージです。

荊木×荊木・・おねショタ。両方の荊木が好きです。