22 December

〈源荘の面々〉・・・お誕生日の風景(小説)

捏造設定。

もしも東京編の「源荘」が平安時代だったら・・。
でも時代考証むちゃくちゃ。
(ここ重要)


光=頼光と正体は全員にバレ済み。

パラレル。

※注)「秋の風景」の続きではないです。スミマセンな短編一本。





・・・・・・・その日は暗雲がたちこめていた。







というか、本当に黒い煙がもうもうと源家に漂っていた。


「た、大将!火事だ〜〜〜〜〜!火元は厨(くりや)か!」


「あっ貞光、ゴメン!驚かせて〜〜〜!ちょっと焦げつかせちゃった。」
もうもうと黒い煙の中、可愛らしく白いひらひらエプロンをして白い
三角巾をした光が手に何か不気味な物体を持って立っていた。

それは・・・・
真っ黒で何か呪術に使うんじゃないか?と思う黒焼きみたいに
あやしく邪悪なオーラがモヤモヤと漂ってみえた。

「大将、なんだ?そりゃ?」
「うん、西洋焼菓子(ケーキ)。」
「菓子?・・・・それが??」

「だって、今日は綱のお誕生日だよ。」
「で?」
「みんなでお祝いしようと思って焼いたんだ。幸い、今日は綱が出掛けてるし、
帰ってきたらサプライズで!」
(そ、そりゃ、別の意味でサプライズだ!大将!)
「ちょっと焦げちゃったけど。綱、ゆるしてくれるかなあ。」
にっこりと不気味な物体とは対照的な可愛らしい姿と微笑みに・・。

(今日の大将、ものすごく可愛いい分だけ罪だぞ!大将のエプロン姿は萌えるが、
その未知の物体はなんなのだ!・・・・ていうか、全員アレ食わされるのか?
・・・酒呑童子の酒より危険率高い!致死率MAX!
綱公、誕生日が命日だな、迷わず成仏してくれ。オレはにげる!!)

「あはははははは、いいプレゼントだね。あ、俺、用事思いだした!」
貞光は後退りしながら自然的?に厨(くりや)をでた。

「あー、びっくりした。そうだ、卜部ちゃんを避難させなきゃ。」
貞光は卜部の部屋にむかった。

「あら貞光さん、いいところにいらっしゃったわ。」
卜部が御簾の向こうから声をかけた。
「卜部ちゃん!今日は陰陽寮にいかないのか?」
「今日は年休ですの。」
「だったら今日は逃げたほうがいいぜ。」
「なんですって?」
「とにかく大将に見つかる前に。」
「頼光・・いえ、光様がなにか?それより、これを作りあげなくちゃ。」
卜部の部屋にスイカ大の物体が転がっていた。
「あれは?」
「花火ですわ。」
「花火?」
「今日は綱殿のお誕生日でしょ?どかーんと花火打ち上げますわ。
赤いフウジン雷神大作戦♪♪。」

貞光はソレが花火というより、むしろ一種の破壊兵器にしかみえなかった。
「それを・・・打ち上げるのかい?」
「ええ、貞光さんも手伝ってくださる?」
(げっ!あんなもん打ち上げたら源家が火の海に!)
「卜部ちゃん、その、花火、大丈夫なのかな。」
「あら、火薬の配合から、打ち上げたときのおおよその飛距離は計算してますわ。」
「・・・・・・」
(・・・どうしたら嫌な思いをさせないで卜部ちゃんを止められるだろうか?)
「そ、そうだな、打ち上げには金太郎と相談してくるわ。」
もはや、光の作った謎物体から卜部も避難させるどころではなくなった。

卜部は大量破壊兵器を製造している!

「あ、貞光!いいところにきた!」
金太郎がなにやら珍しく裁縫セットなどをもっている。
「熊のぬいぐるみって何色が可愛いかなあ?」
「なんだお前、らしからぬこと聞いてくるなあ。」
「今日は綱の誕生日だろ?俺、プレゼント送ろうと思ってさ。」
(金太郎!お前も綱公バースデーサプライズ企画だとぉ〜〜〜〜!?
なんか、とっても嫌な予感がする!)
貞光の予感は的中した。

「おれ、熊を二匹つかまえたんだ、でもあんまり可愛くないから
熊耳の被り物でも被せてぬいぐるみっぽくしようと思ってさ。」

みると、


金太郎の部屋の片隅にぐるぐる巻きにされたむさ苦しい男が二人いた。

ん?????見覚えある??

「げっ!お前は星熊!そして、お前は虎熊!」
《こらクソガキ!ほどけ!》モゴモゴフガフガ←猿ぐつわ

「な。熊だろ。うーん、トラクマのほうは猫の被り物の方がいいかな?」
熊だろうが猫だろうが、二人がそんな被り物した姿を想像しただけで
精神的にダメージ大!

気持ち悪っ!!

「お前!これは可愛い可愛くない!の問題じゃないだろう!」
「そうかなあ??けっこう捕まえるの苦労したんだぜ。」
「いかんいかん、いいか?だいたい、お前、誕生プレゼントにもらってうれしいか?
・・・星熊と虎熊だぞ?クズメと綾竹ちゃんなら俺も嬉しいが。」

《貞光!お前、クソガキにちゃんと教育しろ!》
星熊は貞光に怨みがましく喚いているがモゴモゴしかわからない。

「とにかく、ソレはやめろ。気持ちが悪い!!野生に帰してこい!」
貞光は星熊と虎熊の怨みがましい視線から逃れるようにその場を去った。


「ハア〜〜〜なんて日だ。そうだ、
綱公が帰ってこられなくすればいいんだ。」
貞光は綱が出掛けた宮のほうまで走った。

-------------朱雀門の近くでまっていると綱が現れた。

「よっ。綱公。お勤めご苦労なこった。」
「お前はなにやってんだ?」・・と胡散臭そうに綱。
「俺のつとめは夕べ宿直(とのい)だったから非番だよ、
・・・・・それより、今日はちょっくら俺と付き合えよ。」
「なんでお前とつきあわなければならないのだ?」
「いいってことよ。かわいい子のいる店あるんだぜ。」
「遠慮する!帰って光様をお守りするのが我役目なり!」

(い・・いや・・その「光様」の作った暗黒物質でお前のほうが
ヤバいんだってばwwwww!綱公!!)



ぽつり・・

ぽつり・・

雨粒が一つ二つとふたりの頬を濡らした。

「こりゃひと雨くるな・・急いでかえるぞ。じゃあな貞光。」
「あっ!綱公!!」
綱は猛ダッシュで家路に向かっていた。

「し、しらんぞおお~俺はああ~。」貞光はしかたなく綱の跡を追う。




「源家」にたどり着く。

これから起こるはずの「地獄絵図」を想像すると身震いするが
ここで止めに入る役目も必要だ・・と貞光は観念した。

---------家の中は静かである。

すると・・・がっかりした面持ちで金太郎が現れた。
「貞光~・・熊が逃げちゃったよ~~。星熊も虎熊も~。」
縄は切られて床には「おぼえていやがれ!」と恨み言まで書いてあった・・。
「・・・まあ、しかたないじゃないか。(問題が一つクリアされた!ヨシ!!)」


こんどは卜部ががっかりしていた。
「今夜いっぱい雨になりそうですわ。そんな雲ですもの。
花火の打ち上げは無理ですわ・・・。あ~あ・・残念ですわ・・。」
「そ・・・そうか!天気がそれじゃしかたないな。(おっしゃ~!!)」
貞光は心の中でガッツポーズした。

しかし・・あのケーキと称する「謎の物体」・・しかも・・光のプレゼント。
という最大の難関が残っている!!
(さすが!大将・・アンタは一番のボスキャラだったわけだ。)

厨房にいっても静かだ。
あの謎の暗黒物体も・・光もいない・・。

「大将??」

そおおっと光の部屋のほうへ行ってみた。
「大将~~?大将~~?」小声でよんでみる。
格子戸の向こうに屏風があって光の姿はみえないが
しばらくすると
「貞光?」・・と声。

「綱公帰ってきたぜ?サプライズパーティはどうするんだよ。」
勇気をもって聞いてみた。


「・・・・・・・。」


「どうしたんですかい?」
「・・う・うん・・・ありがと、じゃ、みんなを広間に集めて。
 ・・・・・綱にはさりげなくね。」

(キターーーーーーーーーーーー!!)
貞光は真っ青になった・・ああ、これで四天王全滅だな。あっさりすぎる。
・・これから未来、なんて歴史に記述されるんだああ?


というわけで
貞光以外のほか三人は平常どおりの様子で集まってきた。
「貞光・・顔が青いぞ。へんなものでも食ったのか?」と金太郎。

(そのお前のいう「変なモノ」をこれから食わされるんだよおおお~!(泣))






しばらくすると御簾の向こうから渡り廊下をしずしず歩いてくる光の気配を
感じた。

そうっと御簾をあげて光が入ってきた。

その姿を見て全員息をのんだ。


朽葉色や紅葉色・・。美しい季節の重ねの色合いの袿を着て、
豊かな黒髪は何度も梳って艶やかに、
唇にはほんのり玉虫色になる紅をさしていた。

「うわっ!」
「まあ!!・・光姫様・・きれい・・。」

・・・綱に至っては目が張り付いたように瞬かず口は魚のようにあんぐりと
空いたままだった。

「・・・綱・・お誕生日おめでとう。
本当はね・・一生懸命お菓子を焼いたんだけど・・
手が滑って土間におとしてしまって・・
それを野良猫が口にしたとたん失神しちゃったのよ。
いくらなんでもそれはプレゼントにできないから・・。
・・・せっかくのお誕生日なのに・・・・ゴメンね。」

貞光は心の中で(ニャンコすまん!)
・・・そして(やっぱりアレはキケン物だったか。)としみじみ思った。



「だから・・なにもないから綱には私から笛の音を贈り物にするわ。」
光は恥じらうように横笛を取り出した。
ひとつひとつの仕草が美しく愛らしい。


(あ~大将~~それが一番なんだってば~~!!イイ!イイよ!!emoji 
貞光は心の底からいろいろな意味で泣けてきた・・。


しとしと小雨に降る中庭に向かう広間に美しい笛の音が漂う・・
・・・金太郎と卜部は静かにうっとりと聞いていた。


しかし・・


嬉しさと嬉しさと嬉しさの絶頂にいる主役の綱は硬直しすぎて冷凍マグロ顔に!

貞光は安堵と、目の前の光のかわいらしさと、今日一日は何だったんだ!?
複雑な思いで落涙していた・・。

       (俺にとっても今日はサプライズだったぜ・・大将・・。)



                 <終わり>




※光の料理下手は東京編のヒカルから引用。
 「綱がお嫁に行ったら誰がごはんをつくるのか?」の金太郎の問いに
「あ・・あたしかな?」とヒカル・・・のち、金太郎の絶叫。
もひとつ・・綱のために作ったディナーの味見を猫のトラクマがして
あまりのまずさに・・・・・逃げた。

ヒロイン=極度の料理下手という・・これまたアニメ作品ではありがちな設定。(笑)