21 October

〈源荘の面々〉・・・秋の夜長の風景

捏造設定。

もしも東京編の「源荘」が平安時代だったら・・。
でも時代考証むちゃくちゃ。
(ここ重要)


光=頼光と正体は全員にバレ済み。

パラレル。


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「では、始めるぞ。」



光、綱、卜部、貞光、金太郎が真剣な面持ちで集まっていた。




「あ、オレ、ちょっとトイレ!」
金太郎がまったをかけた。

「か~~~~~~!なんでこんなに涼しくなったのに、
怪談話聞かなきゃならないんだよ!」と貞光。
「よいではありませんか。秋の夜長の風情を楽しもうではありませんか。」
「そもそも、平安京だろ?モノノケ・アヤカシ・コリ・オンリョウ・・魑魅魍魎跋扈な話は
日常茶飯事じゃねえか?」
「貞光、そういう話の中には都の治安に関わる人為的なものも多いんだ、
バカにはできないぞ。」相変わらず頼光(光)殿はマジメだった。
「お待たせ~~~~~~!」金太郎が戻ってきたので再開した。

「では、雰囲気を高めるため、明かりをひとつ消します。」
と卜部が灯明をひとつ消した。
「おいおい、卜部ちゃん、怨霊はらう陰陽師がそりゃないだろ。」
「なんだ、貞光さっきから。コワイのか?」綱は冷ややかに言った。
「ばかいえ!綱公、前から占いとかオカルトっぽい話はバカにしてた
じゃないか!」
「俺が体験した話だから語るのだ!そもそも、頼光様が聞きたいと
おっしゃるから語るのだ!貴様には関係ない!」
「綱、はじめてくれ。貞光、コワイなら聞かなくていいぞ。」と光。
「そりゃないよ、大将。」貞光も参加することになった。

「ごほん!では、始めるぞ。」綱は一呼吸おいた。

「あれは・・・・昨晩の出来事だ。」綱はおどろおどろしく話をはじめた。

「所用があって、馬で出掛けた・・・・。闇夜が異界に通じているような晩だった。・・・・・・そう、あれは既に亥の刻をすぎていた。」

「なに?腹へって夜中のコンビニにいったのか?
あ~~~~そう言ったら腹へってきた!おにぎり食いてえ!」
といきなり金太郎の茶々がはいる。

「ごほん!」隻眼ジロリ。

「そう、ちょうど、あの世とこの世の境目にあるという、
一条戻橋のあたりにきた頃だ・・。」


「まあ、一条戻橋?晴明様のお屋敷の近くねv。
昔、いったことあるけど、あの橋の近くに今ごろなら
甘い美味しい柿の実がなる木があるのよ。」
「ホントか?卜部!」金太郎の瞳がキラリとした。
「ええ、そうよ。」
「うわあ、いきたいなあ。(うっとり金太郎)」
「よし!今度の休みにいってみようぜ!」
「やった!やった!♪」
「では、厨屋のものに頼んでお弁当を用意してもらうよ。楽しみだな金太郎。
案内をたのむ卜部。」・・・・・と光までノリ気だ。







「   あの~~~~~!・・・・・・・
今から恐い話をしようとしてるのになんで
ほのぼの柿の実取りの話に
なるのです!!」


綱の隻眼ビームが炸裂した!
「うへっ!綱公のほうがよっぽど恐いぜ!」

「あら、ごめんなさい。久しぶりに一条戻橋の話が出たんでつい。」
卜部はそっと口を押さえた。

「・・・・どこまで話ました?」
(あ~~~~何このクダグダしたノリ!!もうやる気50%くらい失せた!)
綱はイラッときていた。
「綱が昨晩、亥の刻くらいに一条戻橋の辺りを馬に乗っていた、
というところだった。」光が察してフォローする。

「そう、そこを往くと、道を若い女が歩いていた。かつぎを被っていたが、
ちらっとみえた目元がきりっとした娘だった。」
気を取り直して話はじめた。
「こんな時間に面妖な?と思いつつも、きっとやむを得ない事情なんだな、
と思って、声をかけた。」

「女の一人歩きは危ない、私が送ってあげようと。」
「そりゃ、綱公のほうがよっぽど不審者だぜ。」

「・・・・・・!」

隻眼ビームが無言で炸裂した。しかも貞光へ集中砲火。





「女を馬に乗せて走り出したとたん、
女は突然にオレの髻(もとどり)をつかんだ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そして
・・・突然・・・・・・・消えた!!
・・・・・・・・・・・・・後には暗闇ばかりだった。」





「・・・・・・・・。」(一同無言)


沈黙が続いた後・・・・・




「まあ、綱殿は軽々しく見もしらぬ若い女人を馬に同乗させるのですね!」
不機嫌にむっとしてる卜部ちゃん。
「いいなー、綱公、オレもそんなきりりな目元美人と夜のデートしたいぜ~~。」
指をくわえてうっとりしてる貞光。

〈え?????話の反応ポイントが何でソコ!?・・・・〉固まる綱。



なんか、とっても気まずい雰囲気。


「・・・そ、その女人は一体何物だったんだろう?あやしいなあ。綱、
なにか、その女は手掛かりをおいていないか?」
やっと光が話を修正起動してくれた。

「はい、頼光様、その髻を捕まれた時、とっさに我愛刀で切りつけたところ、
・・・・・・・ばっさりと。」

「此が。」綱は懐から取り出した其は。ごろりと床にころがった。

「まさか!!鬼の腕?!」




一同引く!





しかし、目の前にあるのは、萎びた蓮根であった。

「何これ??」
「ただの蓮根にみえますが。」
「煮物にしたらうまそうだな!」
「綱公・・・何斬ってんだよ!」

「だから、女が面妖だったんで鬼女だったのでは。」
「蓮根の鬼女?」
貞光はばかばかしいと言わんばかり。
卜部はそれをもちあげて、
「特に邪気も何も感じませんね。」








そのとき、
屋敷の侍女が御簾越しに声をかけた。。

「頼光様、客人と申す方がいらっしゃってますが。」
「こんな時間に客人?」
「どんな人だ?」
「はあ、それが、若い女人らしくて。なんでも、貞光様にも会いにきたとか。」
「俺に?」
「貞光!また、女人にちょっかいだしたのか!正々堂々責任をとってこい!」
綱は強気に言った。
貞光は指をおってここ数日声をかけた女人の数と顔を思い出していた。

「とにかく、客間にとおしてくれ。」


光と貞光が客間に入っていく。
綱は屏風の向こうで何かあったときのため愛刀に手をかけ、
息を殺して様子を見ていた。
卜部と金太郎は隣の部屋の几帳の裏で様子を見ていた。

円座にかつぎを被った女人らしきものが正座していた。

「またせたな。私に何か?」
光は対面した。

「なつかしや、頼光様、そして貞光殿。」
作ったようなか細い声。
・・・・・・・・・なにか、あやしい。



「はて?そなたは何者だ?」

貞光は光を守るようにして
一歩前ににじり寄って刀に手をかけた。




「ふふふ・・・」
女と思しきものが含み笑いをしている。






綱もすぐに飛び出していけるようにしていた。



女がゆっくりと・・・



かつぎを外すと中からこの京には珍しいショートカット、
膝上ミニの着物。

「私だよ!覚えておいてくれた?」

「おまえは?!クズメか?」
「え?常陸の土蜘蛛の?!」


「久しぶりだね!貞光!会いにきたよ。」
かつぎを被っていた時とは違う地声で土蜘蛛の女族長は明るく挨拶した。

「その!絞り紋様柄のかつぎ!見覚えがあるぞ。お前は昨夜の・・」
綱が飛び出してきた。

「え???」

「あ・・・あんた・・たしか・・。やだ、綱だったんだね。」
クズメはけらけら笑い出した。

「ひどいのよこの男!あたしを馬に乗せておくっていくとかいいながら
急に馬を走らせるもんだから振り落とされそうになって必死でつかまろうと
したら・・いきなり刀で斬りつけるんだもん!」

「じゃあ・・一条戻橋の鬼女って・・。」
「なによ、その鬼女って。」クズメはじろりと綱を睨んだ。

「じゃあ・・これはなんだ?」・・と真っ二つになってる蓮根を
取り出した。

「都に一度物見遊山にきてみたかったんだ。どんなところだろうと思ってね。
・・で、あんたたちのこと思い出して訪ねようと思ったら道に迷い
一緒に来ていた土蜘蛛族の仲間ともはぐれちゃってね。私達は夜眼が
きくから夜中も大丈夫なのさ。
あ・・・・・そうだ・・・・・・。
これは土産にもってきた常陸名物霞ヶ浦の蓮根だよ。
刀で斬りつけられそうな雰囲気だったから瞬間に飛び降りたとき帯に挟んでいた
蓮根が飛び出したんだ・・。まあ、常陸の国の土産だから食っておくれよ。
綱が台無しにしてくれたようだけど。」

「クズメ!よくきてくれたなあ。」うれしそうな光。
「都見物はこれからか?」

こそこそ逃げ出そうとする・・貞光。

「貞光~~会いたかったよ!」とクズメ。
「いやあ・・はっはははは・・。都見物でも楽しんでいってくれ。
じゃ・・俺はこれで・・。」



隣の部屋・・
「あれはだれですの?」と卜部。
「さあ・・貞光のモトカノじゃないの?」と金太郎。

逃げ出して隣の部屋にきた貞光を捕まえて、
「はるばる東国から貞光殿に会いにきてくださった方ではありませんか。」
「そうだぞ、貞光、デートくらいしてやれ。」
「だってそんなことしたら当分他の女に声をかけにくくなるじゃないか!」



「クズメ、私で良ければ都を案内しよう。」と光。
「あら、私も。最近四条に出来たカフェにまいりましょう。」と卜部。

「ほんとうかい?すまないね。」


・・・・・・・・いつのまにか、華やかな雰囲気になっていた。



クズメが来都。


唖然として立ち尽くす綱と貞光。

もはやどうでもいい金太郎は卜部からの話の
一条戻橋近くの甘い柿の話に夢を馳せていた。

                       




 〈終わり〉