31 October

東京万歳楽家の南瓜大王 (万受小説)

[犬・松・老 東京編のマイナーゲストキャラ]と万歳楽と頼光(兄)。
頼光以外は「人外」。
都内にある高級マンション謎フロアでくらす面々の変な日常。
マイナーを通り越してニッチすぎるパラレルSS。



ハロウィンネタはやるつもりがなかったのだが、毎年ニュースになる渋谷周辺。
ここで渋谷といえば!「白犬」であるのでやってみたくなったおふざけ。



---------渋谷白犬視点から見た捏造キャラ設定-------
万歳楽 俺の(あっちの意味で)御馳走。必ず(あっちの意味で)食うと誓った男。
頼光(兄)  天敵・・いや、存在自体気に入らない男。はやく現世に帰れ!
松虫  昔は万歳楽に仕えていた式だったの小娘。(芝公園・神隠し少女)
老人  昔は本物の晴明だったらしいじいさん幽霊。(最終話・公園おじいさん)







また、この季節がきやがった。

毎年酷くなる一方だ!日本人てのは昔っから祭り好きな民族だが、
古来からのものだろうが西洋のものだろうが全く節操がねえな。

この時期の西洋かぶれしたこの馬鹿げた騒動は俺を[俺の街]から
追い出しやがる!!
  とにかく 騒がしすぎてウンザリなのだ。
俺のほうが文字どおり、毎年尻尾をまいて逃げる屈辱を味わう。


だが、今年は小娘のやつがこんな格好させやがった。

 小娘の言う「おじいちゃんのほうの晴明様」と一緒になってよく
公立の図書館に出かけているようだ。
(ユーレイじじいと式神小娘だから人には見えないらしいがな。)
最近になって現代の絵本なんかで知識を得てきたのか、
〈ワンちゃん、カボチャ大王にしてあげる。〉だとかぬかして
こんな変な仮装もん作りやがった。

南瓜大王だと?くだらん、俺は「気高き白き精霊」だ!

頼光(兄)のやつは俺の仮装をみて笑いをかみ殺すのに必死だった。
俺はむしろ、頼光を噛み殺したいわい!

 ま、小娘泣かすのは俺のプライドがゆるさんし、お、俺だって
そういう意味では大人だからな。まあ、お子さんの遊びにつきあって
やってんだよ。有り難く思え!


−−−−−−−−−というわけで、お前ちょっと付き合え。
お前に仕えていた元・式がこういう格好にさせたんだからな。

 




----------------地上の渋谷の喧騒をとおく超高層ビルの屋上から見ている精霊ズ。
             渋谷白犬と万歳楽。

「俺には昊(そら)が似合う。」
「・・・お前、そんな格好でいくらきめても笑えるくらいしかならないぞ。
いや、むしろシリアスになればなるほどな。」
万歳楽は淡々と言った。

−−−−−−−つくりもののカボチャに松虫がボール紙で拵えた紙工作の王冠。
マントの布にはメタリック折り紙で作ったド派手な星が幾つも着いていた。
「おお、五行相剋紋みたいじゃなあ。」ってじいさんはふぉっふぉっと笑った。
     なんでそんな風にみえるんだよ!
     普通に☆形だろうが。
「・・・・。」〈ワンちゃんを可愛くしてみたの。これは五芒星のマントなの。〉
「そうかそうか良くできてるのぉ。お嬢ちゃんは上手だね。」
     超無敵・鉄壁の爺孫コンビか!こいつらは!
 


「松虫がお前の街のバカげた祭りに似合うように作ったんだから大切にしろよ。」
万歳楽は全く興味なさそうに言った。



ふん!・・すると、こういう格好というのはアレだな。
「お菓子をくれないといたずらするぞ。」だな。
よしよし。

俺の場合はこうだ!
「菓子なんかいらん!(アッチの意味で)悪戯させろ!!!」


 
ぐわっと一瞬の隙をついて万歳楽に襲いかかる白い犬。
屋上のギリギリに押し倒される万歳楽。
下から上昇気流が万歳楽の紅い髪を巻き上げる。
真下には遥か階下の街の灯りが無機質に輝いてる。

万歳楽絶対絶命ピ~~ンチ。
−−−−俺はこの期を待っていた!!!

ふっふっふ、おとなしく俺にお前の体を味わらせろ。

前足でやつの胸をおさえて、牙はコートを引き裂こうとしている。
やつは抵抗できない。
 

ああ、うまそう。
大都会の真ん中の真上で、あられもない姿を晒し、
俺にあんなことやこんなことをされるのだ万歳楽。

と、勝利に酔いしれたその時、


一瞬、ガツンという衝撃とともに大きな星が見えた!


・・・・・・・・・・空を飛んでる白い犬。
「∞◈○฿$¢~~~~~~₮!!!!」


いまや襲われる寸前に、万歳楽はおもいっきり蹴りをいれたのだ。


白い犬は遥か遠くに飛んでいった・・・・流星のように。


------------------あとには都会の喧騒だけが残った。
万歳楽は何事もなかったかのように、ふっとその場から消え
・・・・いずこへと立ち去った。







-------------------------------甘い香りがフロア全体に広がっている。
「うん、上手に出来たね。」
オーブンからホカホカした黄金色のクッキーがでてきた。
頼光は満足げにニコニコした。
〈・・・♪〉松虫もまた嬉しく手を叩いた。

・・・・よろよろしながら白い犬が二人の前に現れる。
「・・あー、今日は多摩地区まで飛んだ。もうちょいで武蔵御嶽神社だった。」
「・・・・!」〈ワンちゃんおかえり!〉
「また万歳楽に無体なことしてとばされたんだな。」とあきれる頼光。
・・・・・・・ほぼ日常茶飯事らしい。

「・・・・・!」〈ワンちゃんのためにこれを作ったの!〉
松虫はクッキーを差し出した。
「!emoji
白い犬はぷいっと横を向いた。

「おいおい、この子は”犬が食べても大丈夫なお菓子”を学んで作ったんだよ。」
「だから俺は犬じゃねえっての!」
「・・・・・・いや、どうみても。」
「・・・・・・。」〈ワンちゃん、カボチャのクッキーをどうぞ。〉
松虫が両手にクッキーの皿をもって微笑んだ。

「ちっ、今度はお子さんのままごとか。」
そういいながら、白い犬はもぐもぐクッキーを全部たいらげる。

・・・と、そのまま臥せった。

「全部きれいにたいらげて仮装をとくこともしないで・・眠ったのかい。
君はほんとうにいいやつなんだな。私は非常に好きだよ。大好きだ。」
頼光は眠ってる白犬のそばで耳打ちした。

「お前に好かれても嬉しくもなんともないわい。万歳楽に言われたら
そのまま俺の愛を10倍にしてお返ししてやるんだがなあ。」
白犬は薄目をあけてそう答えた。

「・・・・・。」<今度はワンちゃんにサンタさんの恰好をしてもらうの。>
松虫はもう12月の計画をたてているらしい。

 -----------なんだかんだといろいろ懲りない人外ズの晩秋だった。

              <おわり>